認知機能

認知機能の中で記憶力は生活の要です!【記憶機能】

投稿日:2019年9月9日 更新日:

今回は、認知機能の代表格である記憶機能をご紹介します。

最近忘れっぽくなった、なかなか思い出すことができないなどのきっかけで「自分も認知機能が低下しちゃったかな?」と実感することが多いかと思います。

 

 

認知機能の中でも、いちばん身近に感じる機能でありながら、あまりその特徴がよく知られていない記憶機能。

これだけは知っておくといいなという記憶機能の特徴を説明したいと思います。

 

目次

 

まずは記憶機能の仕組みから理解

記憶といえば、ずばり覚える機能です。

しかし、覚えるだけは記憶機能の一部にすぎず、実は、次の3段階で構成されています。

 

記憶機能の3つの構成

・記銘(頭につめこむ・覚える)

・保持(頭にとどめておく・覚えておく)

・想起(頭からだす・思い出す)

記憶力は、頭につめこめる容量と覚えておいたものを思い出す再生能力で決まります。

 

記憶機能は、この基本の3段階が滞りなく動く必要があります。

3段階のどの段階が低下しても記憶力が低下したと感じるようになります。

 

 

それぞれの特徴を書いてみますと

 

記銘力の特徴

ところで、目からの情報(視覚)と耳からの情報(聴覚)では、あなたはどちらが覚えやすいですか?

うまく保持できるよう頭で整理しやすい方が得意な覚え方です。

学習するときは自分の得意な刺激で覚えていく方が効率的です。

 

また、どれだけ記憶力が優れている人も一度に記憶できる容量はたいしたことないです。

 

 

記銘力は、いろいろな体の器官を同時に使って覚えた方が抜群によくなります。

 

avatar

homareko

勉強のときに書いて覚えるとか話して覚えるというのは理にかなっているわけですね。

 

 

 

保持力の特徴

保持力が高い記憶の種類は、情動記憶です。

「好きだからよく覚えている」とか「嫌だった気持ち」はよく覚えている経験は誰でもありますよね。

細かな部分まで思い出すことはできなくても、感情とともに覚えていることは認知症になったとしても頭に残りやすいです。

avatar

homareko

「好きこそものの上手なれ」には、記憶力も関係していました。

 

また、「寝ると記憶力があがる」と耳にしたことはありませんか?

深睡眠までしっかり睡眠をとると記憶が定着しやすいことがわかっています。

 

しかし、この時に定着する記憶はエピソード記憶、手続き記憶です。

つまり、「何があった」とか「こんなことやった」などのエピソードや、体で覚えてしみついている記憶はよく寝ると定着しやすいのですが、「たくさん勉強した言葉をよく覚えている」、「テストの時に思い出すこと」はしっかり寝ても期待できないということです。

avatar

homareko

勉強したあとは寝た方が効率いいと信じきっていた学生時代はなんだったのか、、、

 

 

想起力の特徴

私たちの行動や判断は過去の記憶に基づいておこなわれています。

つまり、思い出した事柄によって行動が決まってきます。

想起力の特徴で覚えておきたいことは、思い出す順番があるということです。

 

嫌なものを見たり聞いたりしたときに、覚えているものに対して一番早く反応するのが体です。

「生理的にダメ」という反応は自律神経反応といいます。

パニック発作などもこのループで反応した結果になります。

 

 

次に思い出しやすいのが感情です。

「嫌だった」という気持ちは覚えていても「なにが嫌だったか」を細かく思い出すことが難しいことはありませんか。

 

また「好き」「楽しい」「おいしい」「うれしい」という感情に伴う行動は繰り返されやすい傾向があります。

 

依存症はこの特徴から強化されてしまいがちです。

からだや心が思い出したのち、最後に頭で覚えたことを思い出すのです。

記憶機能の特徴からいうと、「好き」「楽しい」感情とともに行動を繰り返し、いろいろな五感を使って覚えたことが一番定着しやすく思い出しやすいということになります。

avatar

homareko

勉強も仕事も「楽しい」気持ちでとりくむとよく覚えることができるわけです

 

 

目次に戻る

 

記憶機能が悪い代表的な病気

記憶機能が低下する代表的な病気は認知症です。

とくに、「ご飯食べていない」などエピソードを忘れてしまう症状があったらアルツハイマー型認知症の可能性があります。

認知症の種類によって低下する記憶機能の種類が違います。(記憶機能が低下しない認知症もあります)

覚えておきたいのは、認知症にならなくても、普通に年齢を重ねれば記憶機能は低下しているということです。

作業記憶は20代から徐々に低下していきますので、その場に合わせた行動は長期記憶で補われるようになります。

 

つまり年をとると、経験から記憶されたもので行動するようになるので、経験がものをいう、新しい考え方を取り入れづらいなどにつながっていることになりますね。

 

また、ついさっき覚えたことも何かやっているとすぐ忘れてしまうという状態は、70代から一気に増えます。

病気ではありません。

 

また、精神の疾患になると、記憶機能は低下します。

容量も減りますし、想起する力も弱くなります。作業記憶は特に低下します。

 

目次に戻る

 

記憶機能が悪い人への支援ポイント

 

 

支援するポイントは3つ

① 「嫌な気持ち」で覚えさせようとしない

② 覚えていることをうまく利用する

③ 注意機能をうまくコントロールする

 

 

 

「嫌な気持ち」で覚えさせようとしない

 

「楽しい」「おもしろい」「うれしい」などの感情とともに覚えることで、思い出しやすくなります。記憶機能がうまく働くためには3段階必要です。からだの色々な部分をつかってできるだけ多く繰り返し楽しく覚えることで、勉強がテストや日常生活で活かされる、覚えた仕事がうまくできる等につながります。

覚えていることをうまく利用する

 

覚えることが苦手な場合は、覚えやすい方法を身につけることからはじめます。メモを取る、イメージしてみる、符号におきかえてみる、よく似たもので覚える、繰り返すなどです。知っていること、好きで覚えていることは意味がはっきりしている知識となっているので関連付けていくと記憶されやすいです。

 

注意機能をうまくコントロールする

 

覚えるべきことに注意をむけやすくしてあげることで、記憶機能が抜群によくなります。指をさす、注目する、集中して聞くなどの行動を取り入れることにより本人が注意機能をコントロールしやすくなります。

 

目次に戻る

 

おすすめ認知機能リハソフト

病院で行われている神経認知機能リハビリでは、コンピューターソフトを使って記憶機能の改善を図っています。

記憶できる容量を増やす、必要な情報を思い出すなどに効果があります。

 

また、記憶機能を改善するために、注意機能をうまく働かせること、記憶をサポートする方略などを身につけていきます。

 

実際の課題は、こんな感じです。

10秒間イラストをみてどんな服装をしているか覚えてください。

 

 

次にどんな服装をしていたかを答えます。

 

 

 

色や模様など難易度があがると間違いやすいものが入っています。

どこに注意をむけて覚えていくか、覚えるために符号化したりイメージ化したりと工夫を加えていきます。

リハビリでは、自分に合ったゲームの難易度を選んで取り組みます。

 

ゲームによっては、邪魔するものが入って記憶がとぎれやすい罠がしかけられており、楽しみながら記憶機能をきたえることができるようになっています。

 

おすすめ認知機能リハソフト課題

・Let’s脳リフレッシュ! スパーク!目ヂカラ  ハッスルMemory


 

・高次脳機能バランサー フラッシュライト  シリアル7  カード記憶

・賢者の幸福脳  世界旅紀行  紋タージュ

・智者の幸福脳  記憶の断片 エキゾチック・グリフ

・コナンIQ パターンパターン


 

・計算力ゲーム かんたん計算  100問計算 合計計算 小銭計算


 

 

目次に戻る

 

 


今日のポイント

支援するポイントは3つ

・記憶機能は3段階構成 「覚える」⇒「覚えておく」⇒「思い出す」

・記憶の問題は誰にでもある

・記憶力を高めるには、嫌な気持ちでとりくまない

・注意の向け方がkeyになる

今回は、認知機能の中でも日常生活で実感しやすい記憶機能についてくわしく説明してみました。

記憶力を高めたいと思ったり記憶力が低下しているのではと心配になったりすることは誰にでもあります。

 

記憶の仕組みを理解してサポートの参考になれば幸いです。

 

 

参考図書

・精神疾患と認知機能

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

精神疾患と認知機能(最近の進歩) [ 精神疾患と認知機能研究会 ]
価格:5400円(税込、送料無料) (2019/9/9時点)


 

・ワーキングメモリを活かす効果的な学習支援

・高次脳機能障害・発達障害・認知症のための邪道な地域支援要請講座


 

 

-認知機能
-, ,

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

関連記事

「考えて行動しろ!」って言われませんか?この能力について精神科医が解説してみました。【遂行機能】

「考えて行動しなさい!」と注意されたことありませんか? この「考えて」という部分、これは遂行機能の働きによるものです。     今回は、神経認知機能の王様・遂行機能についてお話しします。 遂行機能は問 …

精神科医のわたしが心理学を使って、やる気スイッチ(動機づけ)のしくみをわかりやすく説明します

  勉強にしても仕事にしても「やる気」が大切です。   「やればいいのに…」「やってほしいな…」と思っても、なかなかひとは動きません。私自身も一緒です。   では「何が」ひとを動かしているのでしょう。 …

精神科医が説明する認知機能講座【精神科病院スタッフ向け】

ここ最近、「認知機能」という言葉をよく耳にするようになりました。 「認知症の予防のために認知機能をトレーニングしましょう」というフレーズは一般にもよく聞かれます。 さらに、精神科の診療現場では、「治療 …

精神科医が説明する病気と認知機能の関係【精神科病院スタッフ向け】

前回に引き続き、スタッフ向け認知機能講座です。 ※精神科医が説明する認知機能講座【精神科病院スタッフ向け】   今回の記事の内容は「病気と認知機能との関係」と「病院では認知機能障害に対してどんなアプロ …

就労移行支援の最大のポイントは「できない」を理解しよう!!

  巷でうわさになっているこの本ご存知ですか? 新聞や雑誌、電車の広告などで目にされた方も多いかと思います。 ケーキの切れない非行少年たち (新潮新書) [ 宮口 幸治 ] 楽天で購入 &n …