認知機能

認知機能の中で一番「基礎」になるのは注意機能です。

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うっかりとか忘れ物とか飽きっぽいとかありませんか?

 

それは、注意機能の問題です。

これから認知機能をひとつひとつ見ていこうと思います。

 

第一弾は注意機能についてご説明します。

 

注意機能が悪いと

 ・必要なポイントに注意が向けられず的外れなことをしてしまう

 ・注意が持続しないので物事をやりとげられない

 ・一部に注意が集中し反対からきた歩行者に気づかない

などの様々な問題が生じます。

 

反対に注意機能の働きが良いと、物事を処理するスピードや記憶など他の認知機能の性能もよくなります。

 

注意機能は、神経認知機能の中でも最重要機能です。

認知機能を観察するときは、まず注意機能からはじめましょう。

 

 

目次

 

 

最重要認知機能・注意機能の特徴を知ろう


注意機能は、懐中電灯のライトのようなものです。

 

きちんと目標物にライトを当てるためには

 ・どのくらいの強さで

 ・どこに焦点をあてて

 ・どのように動かすか

の3つのポイントが大切です。

 

 

注意機能が低下もしくは障害されていると、この3つのポイントの調節がうまく働きません。

では、どんな症状がでるのでしょうか。

 

 

強さに影響があるのは覚醒度です。

眠気が強いと注意の強さが弱まります。周囲への警戒も弱くなり、変化にも気づきにくくなります。

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homareko

おくすりでぼーっとしてしまうと注意機能に影響がありますね。

また、興味など強い関心があると覚醒度があがり注意の強さが強まります

 

 

好きなことと同様に、嫌いな事にも集中はできます。

しかし一定の強さは有効ですが、あまりにも強すぎると周囲が見えなくなったり集中が続かなかったりします。

注意の焦点の当て方で大切なのは、多くの刺激がある中で、まず何に注意をむけるかです。

 

意識するもの、動くものに注意は向けられます。(注意の焦点性)

見えていたり聞こえていたりしても、注意を向けない刺激は無視されます(カクテルパーティー効果)

カクテルパーティー効果-Wikipedia

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homareko

統合失調症の患者さんはカクテルパーティー効果が感じにくいと言われています。

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homareko

注意をむけていない音も同じ強さで聞こえてくるので煩わしいです。

 

しかし、無意識の部分が完全にOFFの状態になるわけではありません。

意識にのぼらない周辺の様子も変化があれば、焦点を切り替えてすぐに気づくことができる状態になっています。(注意の分散性)

 

 

注意の焦点の切り替えが悪いと、状況変化に気づきにくくなります。

最後に注意の動かし方です。

 

注意の動かし方としては、

・周囲の刺激を無視して本来の作業のみに注意を向けられる(注意の選択性)

・さらに上級になると、複数の情報を交互に処理することができる(注意の転換性)

・最上級になると、二つの作業を同時に行うことができる(注意の分配性)

となります。

 

注意の動かし方がうまいと作業効率がよくなります。

 

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注意機能が最重要に位置しているワケ

では、なぜ注意機能が認知機能のなかで最重要機能なのか。

 

それは、すべての認知機能の中で一番低次に位置しているからです。

 

つまり、注意機能はすべての認知機能の土台となっています。

これは、高次機能障害の教科書によくでてくるRask研究所の神経ピラミッドです。

認知機能とは | 認知機能の見える化プロジェクト

 

下が低次、上に行くほど高次の機能になります。

注意機能が他の認知機能の一番下に位置していますね。

 

 

たとえば、注意機能の使い方によって、作業を処理するスピードや正確性に影響がでます。

 

ワーキングメモリは、どこに注意を向けるかによって記憶の質が変わります。

 

 

記憶の引き出しに

・どんなことをいれて

・必要な時に何を取り出すかは

注意機能がとても重要です。

 

 

このように、他の認知機能が働くときは注意機能が先陣となって懐中電灯のライトのように働いているのです。

 

 

注意機能がうまく働かないときは、注意機能のさらに下段に位置している体の状態や心の状態、感情の状態が整っていないかもしれません。

疲れていたり、やる気がなかったり、興味がなかったり、イライラしていたりすると注意機能はうまく働きません。

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homareko

認知機能、注意機能をうまく働かせたいときは、まず体調や心の状態を整えることが大切です。

 

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注意機能が悪い代表的な病気

脳に何かある場合、注意障害、注意機能低下はかならずあると思っていいぐらいです。

 

認知症でも、統合失調症でも、うつ病でもあります。

高次機能障害、外傷性障害、てんかんなどにも、もちろんあります。

 

 

注意機能障害に特化した疾患としては、ADHD(注意欠陥性多動性障害)があげられます。

ADHDでは、注意の強さ、焦点の切り替えの調節が悪く、作業を行うにも注意の動かし方に影響が出てしまいます。

 

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注意機能が悪い人の支援ポイント

① 環境に配慮する

散漫になりやすい要因をとりのぞき、集中しやすい環境を整えることは大切です。

音、動くもの、光などが注意の邪魔になっていないか配慮してみてください。しかし、集中しやすい環境を整えるにも限界はあります。

 

② ひとつずつ取り組むよう心がける

注意を向けるものを、ひとつに絞ってあげることが大切です。

注意の動かし方が混乱しないように、一度にたくさんの課題をこなすようなことをしないことで、注意が持続するようになります。

 

③ 疲れたら休む

注意機能が低下していると、自分にむける注意も働きにくい状態になっています。

疲れていても「大丈夫」と本人が言ってしまうことも多くセルフモニタリングはかなり低下していると思ってください。

しっかりと注意が働くよう疲れていないか体調に気を配るようにしましょう。

 

④ やる気がなかったら、はじめの目標を下げる

やりたくないことには、ちょっとだけならやってみてもいいかと思えるように配慮してあげることも大切です。

少しずつ、やってみてもいいか、できそうだという気持ちを高めていってあげるスモールステップを立てていきましょう。

 

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【おすすめ認知機能リハソフト】

病院で行われている神経認知機能リハビリでは、コンピューターソフトを使って注意機能の改善を図っています。

 

・注意の強さをあげる

・焦点をあてる幅を広げる

・焦点の切り替えがうまくなる

・持続できるようになる

 

などに効果があります。

 

 

また、注意機能を改善することによって、ほかの認知機能がうまく働くようになってきます。

 

実際の課題は、こんな感じです。

まちがい探しや、探し物をみつけるなどは注意機能が高められます。

最初は範囲を区切るなどして幅を狭めて探していくといいですね。

 

 

注意を向ける範囲を狭めることで注意の強さが高くなるので、探しやすくなる効果があります。

徐々に注意を向ける範囲を広げていくようにしていけば、焦点をあてる幅がひろがる、切り替えがうまくなるなど注意機能がよくなっていきます。

 

 

ちなみに先ほどの問題の答えはこちら↓


ちょっと難しい課題でした。

 

リハビリでは、自分に合ったゲームの難易度を選んで取り組みます。

 

ゲームによっては、動きが加わったり、邪魔するものが入ったりと注意が散漫になりやすい罠がしかけられており、楽しみながら注意機能をきたえることができるようになっています。

 

 

おすすめ認知機能リハソフト課題
・Let’s脳リフレッシュ! 「イメージ++」「フラッシュ ピッ!」
・高次脳機能バランサー 「双子探し」 「一人足りない」
・賢者の幸福脳 「秘密の古文書」

 

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今日のポイント

・注意機能はすべての認知機能の土台
・脳の問題があったら、注意機能の低下があると思え
・注意機能をうまく働かせたいときは、体調、心の状態を整えよう
・ひとつずつ取り組んでいくことが大切
・認知機能の改善は、まず注意機能から

今回は、認知機能の中でも最重要機能の注意機能についてくわしく説明してみました。

 

注意の問題で困っている方はたくさんいます。

脳や精神の疾患には必ずつきまとう問題ですし、病気でなくとも特に子供のころは、注意の問題が強く出やすいです。サポートの参考になれば幸いです。

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